柿木滉亮
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研修設計 / AI6

AIを教える研修を、AIで作った

エンジニア約70名・3日間の生成AI研修を、設計から教材制作まで一気通貫で担当した。グループ編成を決めた事前アンケートの定量分析、答えを教えない演習設計、PPTXをXMLレベルで組み立てる制作パイプライン。作るのに使った道具が、そのまま教える対象だった。

「AIを教える研修を、AIで作った」。これは言葉遊びではなく、実際の作業手順そのものだ。エンジニア約70名・3日間・オンサイトの生成AI研修を、事前アンケートの定量分析からカリキュラム設計、演習教材の制作まで一気通貫で担当した。使ったのはPython、python-pptx、そしてClaude Code。教える対象と、それを作る道具が同じという構図になった。

設計の出発点は、同時に満たさなければならない3つの制約だった。ひとつ、要件定義の実務経験がほとんどない前提で組むこと。それでも3日間で「上流工程の思考」を体験させる必要がある。ふたつ、AIへの過信を壊すこと。生成AI研修で繰り返し起きる失敗は出力を無批判に信じてしまうことで、これは講義では直らない。体験として仕込むしかない。みっつ、できない層を置き去りにしないこと。スキル差のある約70名全員に、何かしら「できた」を残す。

ひとつめの柱は、事前アンケートの定量分析だった。5指標の回答を能力点へ反転させ、重み付き合成スコアにまとめ、3つのティアに切ってグループ編成に使う。ただし効いたのは分類そのものより、その周りに置いた頑健性の監査のほうだ。クライアントに区分を出す以上、「なぜこの線引きなのか」に即答できなければ意思決定には使えない。だから、重みを均等に変えても94%が同じティアに残ることを確認し、境界±0.5点のバンドは黙って振り分けず「どちらとも言える」と明示ラベルを付け、速答や全項目同一回答といった回答品質のフラグも立てた。そのうえで「データが支持すること」と「支持しないこと」を分離した文書を添えている。全処理はスクリプト化してあり、同じ入力からは必ず同じ出力が出る。

ふたつめの柱は演習設計で、方針は「答えを先に渡さない」ことだった。AI出力の評価演習では、評価の型を教える前にまず判定させる。種明かしは後だ。誤りは難易度を3段階に分けて仕込んであるので、どのレベルの受講者にも「自分は見つけられた」が最低ひとつ残る。ヒアリングのロールプレイは問題カード式にして、4人1組・75分・4ラウンドで回す。カードは、開いた質問に対しては有用な情報を返さないよう設計してある。仮説を持った閉じた質問でしか前に進めない構造にすることで、「仮説を持って聞く」を助言ではなく構造上の制約に変えた。

みっつめの柱は教材制作のパイプラインだ。ブランドテンプレート準拠のスライドを大量に作る必要があったが、テンプレートをゼロから再現すると必ずどこかがズレる。ロゴ、余白、塗り。そこで再現をやめ、PPTXをunpackし、lxmlでXMLを直接編集して、またpackし直す方式にした。テンプレート自身の装飾はそのまま継承される。検証はLibreOfficeでPDFに変換し、pdftoppmで画像化して、レイアウト崩れとテキスト重複を目で見て潰す。日本語フォントが中国語グリフに静かにフォールバックする問題は、rPrレベルで明示制御して抑えた。この経路で演習教材14点、同時進行17〜18グループぶんを作っている。

残った学びは3つある。ひとつ、クライアントに出す分析は「正しい」だけでは足りない。「なぜそう言えるのか」に淀みなく答えられて、はじめて意思決定に使える。ふたつ、AI活用研修の設計そのものにAIを使うと、教える側が「AIに任せてよい所」と「人がやる所」の境界を、説明としてではなく実感として持てる。これは教室での説得力に直結した。みっつ、テンプレートは再現しようとせず、XMLごと継承したほうが速くて確実だ。研修の実施は2026年9月。設計がどこまで効いたかは事前・事後アンケートの伸びで測る。それはまた別に書く。

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